大人のADHDとは
ADHDは元々幼少期の病気とされていましたが、障害の程度や周囲のサポートによっては、成人するまで周囲に気付かれないまま、本人だけが生きにくさを感じている場合があります。
その後、何かのきっかけや環境の変化で発達障害であることが分かる・・・そのような場合を「大人のADHD」「成人のADHD」のように言います。
当院で主に診断治療を行うADHDについて説明します。
ADHD(注意欠陥多動性障害)
ミスが多い、忘れ物が多い、片付けができない、段取りが悪いなどの「不注意」、順番が待てない、会話していると人の話を遮って話し出す、思いついたことを言ってしまうなどの「多動性/衝動性」などの特徴があります。それぞれ「不注意優勢型ADHD」「多動衝動性優勢型ADHD」と言われ、どちらの特徴も有するタイプのADHDの人もいます。またそれぞれの特徴の出方も人によって様々で、一見するだけでは気付かれない、しかし本人は大きく悩んでいるというケースも少なくありません。
診断に至るまで
詳細な生育歴聴取が重要です。初診ではなるべく30分~60分程度診察時間を設けて詳細な生育歴を聴取します。その中で本人が困ってきたこと、現在困っていること、躓くパターンなどを拾い上げ、診断に結び付けていきます。心理検査も行います。心理検査は院内で出来るもの、院外の関連機関で行うものがあります。
初診だけでは困っていることなど全てが話せないこともありますので、その後再診の中でも引き続き困っている点を考えていきます。その間に行われた心理検査の結果もあわせて、全体で2ヶ月ほどかけて診断に至ります。
診断後、治療について
成人のADHDは内服治療があります。当院ではADHD治療薬としてストラテラ、コンサータ、インチュニブを用い、病状の改善を目指します。
内服の際にはきちんと副作用を含めメリット、デメリットを理解していただいた上で最少量から内服開始となります。
特性理解
まずは自分自身の特徴を知る特性理解という事になります。自分がどういう疾患なのか、その疾患にはどういう特徴があるのかを診察の中で説明していきます。ただ一つだけの特徴という事はなく、様々な部分(集中しているつもりでも聞いていないと言われる、ぼーっとしているように見える、我慢していてもじっとしていられない、会議で休憩に行きたくなる、買い物や食欲が抑えられない、など)で特徴があり、またその程度は人により様々なので、その人ごとに説明する順番や説明する時間を考え伝えていきます。
環境調整
特性理解がある程度進むと、それぞれの特性に加え、環境による生きにくさや問題点が見えてきます。そのような生きにくさ、問題点に対し、環境を調整することで改善を目指します。(例:集中が続かない場合は小分けにして情報を伝える、休憩をこまめに挟む、会議などで目立ないような席にしてもらう、など)
薬物療法
特性理解や環境調整だけで改善される場合もありますが、実際には特性理解、環境調整だけでは改善が難しいケースも多々あります。
当院ではADHD治療薬としてストラテラ、コンサータ、インチュニブを用い、病状の改善を目指します。内服の際にはきちんと副作用を含めメリット、デメリットを理解していただいた上で最小量から内服開始となります。